復氏届
夫が亡くなっても妻の姓は、そのままで変更はありません。夫が亡くなり、妻が、結婚前の姓(旧姓)に戻りたい場合、どのような手続きをとればいいでしょうか
司法書士 錦織 祐貴
司法書士 錦織 祐貴

復氏届(夫が亡くなった後、旧姓に戻りたい場合、どのような手続きをとればいいでしょうか)

夫が亡くなっても妻の姓は、そのままで変更はありません。
夫が亡くなり、妻が、結婚前の姓(旧姓)に戻りたい場合、どのような手続きをとればいいでしょうか

 

結婚前の姓(旧姓)に戻りたい場合は、復氏届を市役所に提出する

 配偶者と死別しても、生存配偶者の姓は、変化がありません。

 

 もし、夫が亡くなり、妻が、結婚前の姓(旧姓)に戻りたいと思った場合は、市区町村役場へ『復氏届※』を提出すれば、結婚前の姓(旧姓)に戻ることができます。

 

 『復氏届』の提出期限はないので、いつでも提出することができます。

 

※復氏届は市区町村役場に備え付けてあります。

 

提出先

市区町村役場(生存配偶者の本籍地か住所地)

 

持っていくもの

  • 届出人の本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • マイナンバーカード※
    ※追記欄に旧姓に戻った旨が追記されますので、マイナンバーを持っている人は必ず持参しましょう。
  • 国民健康保険被保険者証※(有効期限内のもの
  • ※国民健康保険に加入している人で、マイナ保険証に移行していない人は、国民健康保険被保険者証を持参しましょう。

国民健康保険被保険者証は有効期限が切れるまでは使用できる

 令和6年12月2日以降は国民健康保険被保険者証の新規発行は廃止されます。

 

 有効期限が切れるまでは国民健康保険被保険者証は、引き続き使用することができます。

 

 ※有効期限は、保険証に記載されています。
岡山市の場合は、令和7年7月31日

 

 戸籍全部事項証明書の添付は、不要になったので、持参は不要です。
 また、印鑑(認印可)の押印は任意なので、復氏届に押印しないのであれば、持参は不要です。

 

復氏届を提出したら

 『復氏届』を提出後は、生存配偶者は、原則、結婚前の戸籍に戻ります。

 

 しかし、ご両親が亡くなっている場合や、結婚前の戸籍に戻りたくないので新しい戸籍を希望した場合は、結婚前の姓で新しい戸籍が作成されます。

 

結婚前の姓に戻る(籍を抜く)以外の変化はない

 復氏届の効果は、結婚前の姓に戻る、夫の籍から抜ける以外は、何も変化はありません。
子どもがいたとしても、子どもの姓は、変更しません。

  • 亡配偶者の親族との姻族関係は継続します。
  • 亡配偶者の親族に、通知がいくわけでもありません。
  • 亡配偶者の遺産も相続できます。
  • 遺族年金の受け取りもできます。

 

姻族関係と姓は連動しない

 姻族関係と姓は連動しません。

 

 妻が『姻族関係終了届』を提出した場合、亡夫の親族と縁が切れますが、妻の姓は変化しません。

 

 また、妻が『復氏届』を提出した場合、結婚前の姓(旧姓)に戻りますが、亡夫の親族と縁を切れません。

 

姓が変わったら変更するもの

 姓が変わったら下記について、変更手続きを行います。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • 銀行口座
  • クレジットカード
  • 携帯電話
  • 保険(生命保険、自動車保険など)
  • 車検証
  • 各種サービスサイトのマイページ

印鑑登録についての余談

 たまに、女性で印鑑登録の登録印が名前だけの人がいます。
 その理由は、離婚して姓が変わったときに、再度印鑑を登録する必要がないからです。

 

 登録している印鑑が氏名の場合は、氏(姓)が変われば、印鑑登録は自動失効しますが、登録している印鑑が名前だけの場合は、印鑑登録は継続します。