任意整理の返済はいつ終わる?プール金・支払代行の仕組みとストレスを減らす方法
任意整理の返済期間が分かりにくいのは、プール金や支払代行の仕組みが関係しています。 これらを理解しておくと、事務所に「あとどのくらい?」と聞かれたときも、曖昧な答えの理由が分かりますし、自分で返済管理をするかどうかの判断もしやすくなります。
司法書士 錦織 祐貴
司法書士 錦織 祐貴

任意整理の返済はいつ終わる?プール金・支払代行の仕組みとストレスを減らす方法

 

任意整理をして毎月きちんと返済を続けているけれど、
「いったいいつまで続くの?」と思ったことはありませんか。
事務所に尋ねても「あと3~4年くらいですね」と曖昧に言われることもあります。
実は、そこには“ある仕組み”が関係しています。

 

和解書には最終支払月が書かれているのに

任意整理で和解が成立すると、その内容を和解書という書面にまとめます。
和解書には、以下のような重要な情報が書かれています。

  • 毎月の返済額
  • 返済回数
  • 振込口座
  • 最終支払月

それにもかかわらず、弁護士や司法書士に「あとどのくらい支払えば終わりますか?」と尋ねても、
「あと3~4年くらいですね」と大まかな数字しか教えてもらえないことがあります。
実は、その理由の一つが、法律事務所や司法書士事務所が行っている『プール金』という仕組みです。

 

プール金とは

法律事務所や司法書士事務所によっては、和解後の毎月の返済額よりも多めの金額を毎月支払うよう求められることがあります。
これは、いざというときのために「プール金(予備資金)」を積み立てておくためです。

 

万が一、あなたが返済を遅らせたり、一時的に支払えない月があっても、プール金で立て替えるため、貸金業者への返済の遅延を防ぐことができます。

 

プール金が一定額までたまり、債務残高と同じ金額になった時点で、そのプール金を使って一括返済が行われます。
そのため、和解書に最終返済月が書かれていても、事務所側は「おおよそ3~4年ほどですね」といった大まかな説明しかできないことがあるのです。

 

支払代行手数料も返済時期を分かりにくくする

もう一つの理由が支払代行手数料です。

 

支払代行とは

支払代行とは、任意整理後の返済手続きを弁護士や司法書士が代わりに行ってくれる仕組みです。
あなたは毎月決まった金額を事務所に支払うだけで、事務所が各債権者へ振り込みをしてくれます。

 

多くの事務所では、支払代行手数料は「債権者数×税込1,100円程度」です。

 

支払代行の例

和解後の毎月の返済額が 20,000円(内訳:アコム5,000円、プロミス4,000円、レイク6,000円、モビット3,000円、オリコ2,000円)の場合、
債権者数が5社のため、毎月の手数料は 5,500円 です。

 

つまり、
20,000円(返済額)+5,500円(手数料)=25,500円 を毎月事務所に支払う必要があります。

 

任意整理をした方の中には、事務所に支払った金額がすべて債権者への返済に充てられていると勘違いしている人もいます。
上記の場合、実際には毎月25,500円を支払っていても、債権者に届くのは2万円(全体の約78%)にすぎません。

 

プール金(毎月ちょっと多めに払う仕組み)や支払代行(支払ったお金が全部債権者に届くわけではない)のせいで、弁護士や司法書士も「いつ返済が終わるか」を正確に伝えにくくなっています。

 

いつまで返済すればいいのか分からずにストレスを感じたら

もし「いつまで返済が続くのか分からなくてストレスを感じる」という場合は、
思い切って法律事務所や司法書士事務所に支払代行をやめたいと伝えましょう。

 

支払代行をやめると、今後は自分で各債権者に直接返済していくことになります。
(和解書に記載された返済額・振込口座・返済日を確認し、和解書どおりに返済してください。)

 

支払代行のメリットとデメリット

  • メリット:返済の手間が省ける
  • デメリット:トータルの手数料が高額になる

 

たとえば、債権者が5社で返済期間が5年の場合、
1,100円 × 5社 × 60か月 = 330,000円 の手数料がかかります。

 

支払代行を続けるかどうかは、「手間を省く便利さ」と「支払うコスト」のどちらを優先するかで決めるとよいでしょう。

 

振込手数料をゼロ円に!支払うコストを減らす方法

支払代行をやめた場合、各貸金業者が指定した銀行口座に毎月自分で振り込む必要があります。
債権者が5社ある場合、それぞれに振り込むため、振込手数料も5社分かかってしまいます。

 

しかし、インターネットバンキングを利用すれば振込手数料を無料にすることが可能です。

 

たとえば、返済口座が三菱UFJ銀行の場合、三菱UFJ銀行の口座を開設し、ネットバンキングで振込を行えば、手数料は無料になります。
スマホで簡単に操作でき、年間で数千円の節約になります。
無理なく続けられる工夫として、今日から少しずつ取り入れてみてください