こんにちは 司法書士の錦織(にしこり)です。
相続登記が終わって、2~3か月ほどたったころ、突然、不動産会社からこんな手紙が届いたことはありませんか?
「相続された不動産のご売却を検討されている場合は、ぜひご相談ください。」
初めてこのような手紙を受け取ると、つい不安になりますよね。
「え?どこから相続のことが漏れたの…?」
「相続登記を依頼した司法書士が情報を教えたの?」
そんなふうに心配される方は実際とても多いです。
結論から言うと、不動産会社が相続の事実を知っているのは、法務局に「行政文書開示請求」を行い、相続に関する情報を取得しているからです。
行政文書開示請求をすると、法務局から「受付帳」という資料が交付されます。
この受付帳には、どの不動産で、どのような登記申請が行われたかが一覧で記録されています。

不動産会社は、この受付帳の中から「所有権移転・相続」と記載された案件を選び、さらにその不動産の登記情報を取得することで相続人の氏名・住所を把握します
こうして収集した情報をもとに、営業案内の手紙が送られてきます。
一見すると、「個人情報が漏れているのでは?」と感じるかもしれません。
しかし、不動産登記制度は公開が原則で、登記に関する情報は誰でも閲覧できる仕組みになっています。
そのため、不動産会社が今回のような方法で法務局から情報を取得するのは、違法行為でも情報漏えいでもありません。
それでも、「やっぱりモヤモヤする…」という方もいらっしゃると思います。
ただ、不動産会社の立場から見ると、相続物件の売却の案内状を送るまでには多くの手間とコストがかかっています。
不動産会社が手紙を送るまでの実際の流れ
そして、100通以上送っても、実際に反響があるのは1~2件ほど。
実は私自身、不動産会社に勤務していた時期があり、事務担当者が何百件もの案件について、この一連の作業を一人で黙々とこなしている姿をよく見ていました。
実感として、これは決して「怪しい手法」ではなく、地道に行われている営業活動の一つだなと感じました。
(ただ、手紙を受け取った方の中には、迷惑に思われる方も少なくないと思いますが)
相続登記後に不動産会社から手紙が届いても、情報漏えいを心配する必要はありません。
ただ、どうしても不安な場合は、お気軽に司法書士へご相談ください。